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10.痛い所と悪い所は違う
例えば神経痛。
大抵の場合痛む所と原因となっている場所は違う、痛い所に針をしても治らない。

よくある坐骨神経痛は、ほとんどの場合、直接の原因は腰である。
ところがこれをなかなか理解してくれない人が時々ある。
腰に針をしようとすると「そこはどうもない、足が痛いんや、足に針してくれ」。
そこで、腰を治さないと足の痛みも治らないということを丁寧に説明して、さあ腰を治療しようとすると、「腰は痛とうない、そこはせんでええ」・・・何回言っても分かってくれない。
まあ気持ちは分かるけど、こういう理解してくれない患者さんは難儀です。

以前通っていた外科の先生ところで、私も知ってるあるおばあちゃんが先生としゃべっていた。
その先生は丁寧に説明してくれる親切な人で、その時も「その手の痛みは頸椎に変形があるからで時間を掛けて首を治療しないといけない」と懇懇と説明をされていたけど、そのおばあちゃんは全然聞いてなくて「手が痛い、痛いのが治らへん」の一点張り。
さすがの先生もとうとう切れて、「治らへんのはあんたがきちっと治療に来えへんからや」と怒ってはりました。

そもそもそのおばあちゃんは人の言う事聞かない人なので、横で聞いてておかしいやら、先生も大変やなと身につまされた。
神経痛に限らず、主訴と原因は全く違う、思いもよらない場合だってある、心因性の腰痛などはもっと厄介である、心の痛みが腰痛として感じているだけだからである。

東洋医学は、単に対症療法だけではなく、元になっている原因から治そうとするので、その辺りを理解してもらうのはなかなか難しいものがあります。
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